俺様上司は溺愛体質!?

「は?」
「真屋さん勘がいいから。言わないでよかったから、楽してました。察してなんて、ズルいですよね。ごめんなさい」
「萩原……」

 少し腕の力を緩めて、顔を上げる。

「正直に言います。私、ずっと前から真屋さんのことが好きでした」

(きっと真屋さんは、十年前のことは覚えていない。それでも構わない。私の思いは生きてるから。消えてない。ここにあるから。)

「だからやっぱり、あなたにふさわしい人間になりたい。あなたを幸せにできるような人間になりたいんです」

 ちとせは少し背伸びして、真屋時臣のひんやりした頬を両手で挟む。


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