俺様上司は溺愛体質!?

 十年前、真屋さんは瀧川さんを選んだ。
 けれど五年後、真屋さんは『卑怯な自分が嫌になって』瀧川さんの元を離れた。
 それから一切連絡はとっていなかった。

 二人の会話からはっきりと聞き取れたのはこれだけだ。


(十年前……。あの頃かな。)

 ちとせの脳裏で何百回と繰り返された真屋時臣の沈んだ表情。
 自分をすり減らして生きるような暗い目。

(何を選んで苦しんだの。ねぇ真屋さん。十年前、五年前……瀧川さんと何があったの……?)




 
< 177 / 275 >

この作品をシェア

pagetop