俺様上司は溺愛体質!?

「こんばんは〜」

 俄に顔を出すのは久しぶりだったので少し緊張する。
 自分の知っている常連客はいるだろうかとドアを開けると、

「あらっ、来たわね」

 カウンター席では信治郎がグラスを傾けており、そして龍がいつものようにシェイカーを振っていた。

「信ちゃん、龍さん、久しぶり〜!」

 きゃーとはしゃぎながら信治郎の隣のカウンター席に座る。

「今日の俄がまた久しぶりに閑古鳥だから、あんたが来るんじゃないかって話してたのよね」
「なにそれわたし厄病神なの!?」
「たった今客が引けただけだ、気にするな」
「もう、信ちゃん嘘はやめてよ!」

 信治郎のいつもの冷やかしに龍のフォロー。

 少し前までなんでもないことだと思っていたこの時間が、今日はとても新鮮で懐かしい。



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