俺様上司は溺愛体質!?

「そうよ。時臣はね、尊敬していた先輩が私を失い、失意のまま実家に帰ったのを自分のせいだと思ってるの。世の中にごまんとあるようなすれ違いの一つでしかないのに、心底自分のせいだと思っているの。可愛いでしょう。ゾクゾクするわ。あんな男、他にいるかしら?」

 鈴を転がすような軽やかさで瀧川は笑い声をあげる。

 ゾッとした。


「瀧川さん、いい加減にしませんか?」

 ちとせはほんの少し語気を強める。

「え?」

 まさかそんなことを言われると思っていなかったのか、瀧川は少女のようにキョトンとした表情になった。

 ちとせは確信した。

 彼女は子供なのだ。
 誰よりも美しくて才気に溢れ、他人でもなんでも思い通りにしてきたから、自分を通すことしか頭にない。


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