俺様上司は溺愛体質!?

 代わりになんとか手を伸ばし真屋時臣の頭を撫でる。
 そうくると思っていなかったらしい真屋時臣は、キョトンとした表情になる。

「お前こそなんだそれは」
「えっと……なんとなくそうしたかった、からでしょうか」
「ふっ……ガキじゃあるまいし」

 けれど真屋時臣はちとせの手を嫌がらなかった。
 おとなしく髪を撫でさせた後、ゆっくりとちとせを抱き起こした。

 肩からスーツの上着が滑り落ちる。

「これかけてくれてたんですね。ありがとうございます」

 真屋時臣に差し出すと、彼は立ち上がってそれを羽織った。

 襟が大きめの白いワイシャツに濃いグレーのベスト姿は、どこからどう見てもエリートサラリーマンだ。いくら飲んでも乱れていない様子にちとせは感心するしかない。

「あ、もしかしてワイシャツもファウンデーションなんですか?」

 ふと思い出したように問いかけると、真屋時臣はうなずいた。
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