甘く苦い、毒牙に蝕まれて
多崎は本を乱暴に僕に投げつけて、机にかけてあったカバンを勝手に取ってファスナーを開けて床に乱暴に中身を全部出してしまった。
床に散乱するノートや教科書。
お弁当に、水筒。
そんな中で、1つだけ見覚えのない物が。
明らかに高そうで、明らかに僕の物じゃない。
……これは。
「あー!これ、俺の財布じゃん!やっぱお前が盗んだのかよっ」
財布を手に取って、多崎は睨んできた。
物事を最初から傍観していた男子達はみんな口々に「マジかよ」とか「最低だな」と好き勝手に言い始める。