甘く苦い、毒牙に蝕まれて




そんなこんなで、長いと思っていた夏休みは瞬く間に過ぎていき、新学期を迎えた。




「あ、まひろっ!おはよ」


「おはよう、万桜」



新学期早々に、下駄箱で万桜と会った。

夏休みに頻繁に会っていた事もあり、休み明けにも関わらず久しぶりに会った気が全然しない。



「なーんか、❝久しぶり❞って感じしないな。夏休みに会い過ぎて」


万桜も同じ事を思っているようだ。




「俺さ、なんだかんだでまひろとばっか遊んでた気がする」


「わっ、私もっ!」



万桜にとって、私は……少しだけ特別だったりするのかな?

何度もそんな考えが脳裏をよぎっては、一喜一憂。


だけどさすがにそれは己惚れすぎだと、すぐに気持ちは沈んでしまう。



< 171 / 200 >

この作品をシェア

pagetop