それでも君が
踏ん切りがつかなくて
空は真っ青に晴れていて、満開の桜とのコントラストが美しい3月の終わり。
部屋の窓から見る風景は、落ちた桜で地面がまだらにピンクに染まっている。
あら可愛い。踏むのが勿体ない。そんな会話をしながら歩く人もいるんだろう。
そんな晴れやかな天気の中、俺の部屋では修羅場を迎えようとしていた。


「あのさ、付き合って五年じゃん?そろそろ結婚しようとか思わないの?」


彼女の黒髪ぱっつんから覗く、切れ長の瞳は真剣だ。
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