課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 風呂に入っている、という真湖の電話を切った雅喜は、スマホの画面を見ながら思う。

 反省会って、次があるのか?

 伊勢に行きたいとか宮島に行きたいとか。
 俺を誘ってるのか?

 いや、この女、なにも考えずに言ってそうだ。

 他所の男にもこうなのか?

 軽いわけではないが、自分の価値を低く見積もりすぎというか。

 そういう意味で隙がある。

 どさくさ紛れに、真湖りんとか呼んでいた花田も、気がないわけではなさそうだ。
 あの子、すごいスタイルがいいとか、いつか言ってたし。

 だいたい、電話とは言え、男に、今、風呂に入ってるとか簡単に言うなよ。

 いや、こっちが聞いたんだが、と思いながら、スマホを置いた。

 部屋の隅に立てかけてあるあの釣り竿を見る。

 ほぼ初めてというのに、自分に付き合って、必死に釣っていた真湖を思い出し、少し笑った。




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