恋するサクラ


 気になって気になって、帰りに恭吾さんの花屋に行ってみた。

「佐倉さん、今日は来ていないですよ」

 出てきたのは、花江さん。

「ありがとうございます」

「あの……」

「はい?」

「どうして、プロポーズ受けないんですか?」

「……え?」

「あなたがそんななら、私もう遠慮しませんから」

 花江さんはそう言い残して、ぷいっと奥に入っていった。

 花江さんが本気出したら、なんとなくかなわない様な気しかしない。

 四六時中一緒にいるわけだし、一番恭吾さんのことをわかっているんだろう。

 それでも、恭吾さんと、このまま別れちゃったりなんて、私に耐えられるのか。

 どうしよう、どうしたらいい?

 このまま恭吾さんの返事をひたすら待っているしかないの?

 いてもたってもいられず、恭吾さんの住んでいるマンションの前まで来てみた。

 帰ってきている様子はなかった。

 恭吾さんはどこに行っちゃったの?
 
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