武士になりたい!
【土方歳三】



「新入が、藤堂を斬ったと言っています」

「なに?」


平助がよりによって、新入に?


「山崎さんは、まだ安否がわかりません」


尾形が知らせてくれた


伊東さんの暗殺が成功して、亡骸を取りに来た平助が斬られた

山崎の安否がわからねぇし


永倉と原田まで説得に失敗したのかよ


「くっそっ!!!」


屯所待機の為、動けないのが悔しい

山南さんがどれ程凄い器か、今更ながら

身をもって実感した

頭を働かせて、気が休まらない

こんなのたまらねぇよ


ふと、目の前に山崎の刀が見えた


冗談じゃねぇ!!!


山崎が、失敗するはずがねぇ!!!



「報告します!
乱闘が終わり、全員こちらに向かっております!」

「わかった」


しばらくして、待ちきれず


門前へ


出勤した者がゾロゾロと列をなし

帰った


屯所に入らせ、風呂に入るように指示した


「先に入れ!」


永倉が、下の者らに指示した

原田と俺の前に立ち


「平助が斬られた」

「聞いた」

「土方さんの指示じゃないんだな?」

「当たり前だろ!」

「だとよ!」

永倉が振り返ってそう言うと

平助を負ぶった、山崎が出て来た

近くまで来ると怪我をした平助を降ろした

「しっかり歩けや!!!すぐそこやで!」

駆け寄ろうとした俺を永倉が止めた

「自分の意志で、自分の足で新選組に
帰りたいんだとよ」

「山崎を連れて帰るって、約束したから
何がなんでも、連れて帰るって……
途中で、動けなくなって、俺が負ぶるって
言ったんだが…」

「山崎と一緒に帰るって、頑固だろ
そしたら、山崎が負ぶるって、こっちも
頑固だろ?」


永倉と原田は、泣きながら説明していた

平助の傷

あの出血量では

助からない



バタッ



山崎と平助が俺の前で倒れた


「平助!よく帰って来てくれた!!!
山崎のアホを連れて帰ってくれて
ありがとうよ
お前は、新選組の仲間だからな!!!」

「へへっ ただいま…
土方さん… 山崎… くっ…」

「藤堂!!!もうええから!!!
おおきに…おおきに…」

「平助!!!」

「平助!!!」














平助が亡くなった












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