武士になりたい!
「戻りました」

「おう 様子を教えろ」

「大砲やかなりの数の銃
それに、新型と思われる銃も多数
武器の数も驚きましたが……
よく、訓練されているようですね」

「訓練なら、こっちだってしてるだろ」

「敵を褒めるのもどうかと思いますが
やる気が桁違いですね
例えるなら……
新選組に成り立ての頃の隊士達ですかね」


その例えが、わかりやすくしっくりきた


あの頃は、士気が高く

皆が、志を一つに話し合ったり

稽古をつけあったり


それが、だんだん……

人手は、かなり増えたが
指導の目が行き届かなくなりだし


一度、山崎から注意されたことがあった



「いくつかの屋敷を回ったんですけど
どこも、浪士がいっぱいでした」


「お前の予想で、どれくらいだ」


「大袈裟に言いますね
まだ、見ていない疑わしい屋敷も含め
四千から五千程でしょうか」




こちらは……

一万を超えるはずだ











「どんな事に、注意すべきだと思う?」

「んー?人数に勝るという油断ですかね
例え、一対十でも、敵を軽く見ず
本気でやらなければ、死ぬという
危機感を持たせる必要がありますね
実際、俺は一人で十相手でも負ける気は
ありません
天命を全うしたいですから」

「おめぇは、刺しても死なないだろうな」

「そうですね
刺されて、死ぬ気はないです」




いかに、仲間を減らさずに

勝つかは、士気の高さ

それに、俺の指揮系統にかかっている



近藤さん不在の重圧に、拳を握る



ふわっと山崎に抱きしめられたことに驚き

目を見開く



「大丈夫…土方さんなら、出来る
土方さんに…ちゃんと、ついてくから…
生きてる限り、微力やけど
力になるから…」



頭を撫でる手に、山崎の言葉に


何度も癒やされているが



今日は、泣いてしまいそうなくらい


助かった




そっと、山崎の背中に手を回し


「あと少しだけ…このままでいてくれ」

「はい」






山崎を大阪にやらなくてよかった


もし、山崎がいなければ


俺は、突然の攻撃に対処することが出来ず


仲間を失っただろう














< 190 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop