偽りの御曹司とマイペースな恋を


その日の夜。

「もういいもういい!」
「大丈夫まだいける」
「どういう意味だ。いいから下りろ」

瓜生のお疲れっぷりに歩は以前テレビで見た
うろ覚えの疲労回復にきくマッサージをやる事にした。

彼の自室のベッドがいいけれど無理なのでリビング。

もういいと言う瓜生を無視して歩は彼の上に乗り足を掴み上げ引っ張る。
瓜生としてはこれくらいは痛くはないが体制があまりよろしく無い。
離れてもらうように抵抗する瓜生だが下手に暴れると歩が落ちてしまう。

よってされるがまま。

「もっとこうね、強めに…」
「へ、へんな所を触るな!」
「マッサージだよ」
「いいから。肩を…肩を揉んでくれたらいいんだ…っ」

悶絶する瓜生にだんだんおもしろくなってきた歩。
お店で女の子に触られたのだから、

これくらいはやって当然。



「あらま。お2人さんヒートアップ中だったの」
「あ。おじさん」
「父さん」

熱中しすぎてマッサージというよりは
プロレスのような形になって居る事に気づいてない歩。
瓜生は無言で堪えていたのだがその時ドアが勝手に開いた。

入って来たのは養父。

この部屋を与えてくれたのは彼なので当然のように合鍵を持っていた模様。

「ごめんね邪魔して、オジサン邪魔だよね?」
「ち、ちが」

何処か嬉しそうに頷いて帰ろうとする。

「待ってください。これ以上イツロ君を苛めないでください、お休みも取らせてあげてください」
「いやあ。今の歩も十分意地悪じゃない?イツロ君を生殺しにしてると思うよ?」
「え?ナマゴロシ?」
「おやすみ。いい夢みるんだよ2人とも」
「父さん。だからこれはただ疲労回復の」
「うんうん。わかってる、避妊は大事だよ?」
「ち、ちがっ」

勘違いしたまま満足気な顔で手をふって帰っていった。

「話し聞いてたのかな」
「聞いてない。あれは、絶対聞いてない顔だ」
「今度会社であったらちゃんと言おう」
「……」
「さ!イツロ君!逃げないで!次いこう次!」
「やめてくれ!もう、もういいんだ!歩!」








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