一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

 翌週の土曜日。永峯医院長に誘われたパーティーの日。游さんは仕事が終わったら実家に帰る予定があると言っていた。私は招待状を手に麻布のレストランに向かった。

お洒落な造りの一軒家。その中はドレスアップした女の子たちで溢れていた。

目の前に広がる光景は何だろう。私は目をしばたたく。例えるならまるで王子様のお妃候補を選ぶお城の舞踏会。

場違いなところに来てしまったのかもしれない。そう後悔したのは自分の服装があまりにもカジュアルだったからというのもある。さすがにお祝いの席にふさわしい服を選んだつもりでいたけれど、まさかあんなドレスを着てくるようなパーティーだったなんて想像すらしていなかった。

 主役の王子はどこだろう。まだ登場していない様子。なんでも、緊急の手術が入ったとかで、遅くなるそうだ。いちおう誕生祝いになればと花束を用意したのでそれだけ渡したら帰ろう。

私はテーブルに並んだ料理を手に取り、隅の方でぱくついた。本物のキャビア。フォアグラにローストビーフ。どれもすごくおいしくて、游さんにも食べさせてあげたいなと思った。

 それから少しして、本日の主役が登場したようだ。人だかりで全く見えないけれど、女の子たちの黄色い声がそれを知らせてくれた。

私は食べかけのフルーツタルトを口に押し込むと、花束を持って立ち上がる。

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