初恋物語
なれるかな
「おい、凛」
「なに、唯人...」

「あのさ、母さんのことでさ...」
「...?」
「もしかして、知ってたの?」

「え、えっと...。」
凛はいきなり聞かれて戸惑っている。

「こ、ここでは話せない」
「じゃ、外で」

そういって2人は外へ出ていった。
凛も唯人も暗い顔をしていて、無言のままだった。

「ごめん...。今まで黙ってて...。」

口を開いたのは凛だった。

「どうして黙ってたの?」

「...実はさ...、私、小さい頃に結依子さんの病室に行ったの。
それでね、医者と結依子さんの話を聞いちゃったの...」

「…」

「それでさ...あのピクニックが最後って知っちゃって……。
ホントは外出しちゃいけなかったのに...。私が止めとけば防げたかも知れないのに...」
「知ってた」


...え?知ってた...?
私は唯人がいってることがわからなかった。

「なんとなく気付いてた。でも最後まで母さんには笑顔でいてもらいたかった。俺には知られなくなかったと思うし。」
「……早く言ってよ...。1人で抱えなきゃいけないと思ってずっと苦しくて、
それに、それに。」
「もうわかったよ。うち明かしてくれてありがとな。」



やっぱり。唯人は最後まで優しかった。
ごめんね、唯人。ごめんね。



最後まで、助けてあげられなくて。
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