究極のお一人様〜ソロウェディングはお断り〜
修吾の指差す方に見えたのはこのマンションの反対側。どでかくそびえ立つ古い建物。


鉄筋とはいえ、どう考えても築30年は経っているだろうと思える。明らかに月とスッポン。



「あそこ?」


「そうです。会社の寮なんですけどね。じゃ、行きましょう」


スタスタと前を歩く修吾の後を追いかける。ここのマンションを見た後からだからかすごい落差に驚きはしたけれどあの男が入っていったマンションよりはマシだ。


「おつかれさまでした。どうぞ、入ってください」



まさかのエレベーターなし。その上の5階。ヒールじゃなくて良かったけれど普段階段なんてこんな段数上らないから息切れが激しい。


階段も石段で何度転びかけたか。とはいえ、無事に到着したんだし、掃除を済ませよう。



「・・・修吾、なんで私を呼んだの?部屋、片付いてあるじゃない」



「見た目はそうかもしれませんが、汚れの激しいところはあります。そういうところをよろしくお願いします」



「分かった」
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