神様の暇潰し★

''あの頃''へ

たどり着いたのは、なんの変鉄のない、教室。

───教室。

ここは、中学校。

中学2年生...2ーB。

目の前の彼女は、キョロキョロと
辺りを見回している。

僕は、
あの頃と''同じ''ように

窓側の一番後ろの席に座った。

彼女は不思議そうに、こちらを見た。

座った席の、隣の席に座るよう促すと
少しの不安と疑念をかかえたまま、

''あの席''についた。

フフフ。

つい、笑いを漏らすと
彼女は警戒してしまった。

おー怖い怖い、

棒読みの声に
何故か、彼女は力を抜いた。

本当に、''あの頃''と変わらないね。

君は。

こちらをまっすぐ射ぬくような瞳も。

光りに照らされ輝く、白銀の髪も。

...安心したよ。

だからこそ、

『思い出してもらうよ』

手にした本の表紙を開く。

そうだ、この言葉には、
ニヒルな笑みが似合うだろう。

僕は、少しおどけて言うのだ。

芝居がかった物言いで。

「ようこそ。

素晴らしい非日常の、物語へ。」

始めようか。

僕は、語り部。

''物語''は、

君のためのもの。

君''だけ''のモノ。

─────『捕まえた』

本心を心の奥底に押しやり、

綺麗な満面の笑みを見せて、

僕は、君を捉えた。


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