CURRENT



「矢島さん?」


「……え?あ、はい、分かりました」



もう1度名前を呼ばれて、我に返った。


結局、彼は普通だったのだ。

昨日のことが嘘だったかののように。

なんだか、私1人で意識しているみたいでバカじゃないか。

やっぱり、彼にとっては気まぐれなんだ。

昔の知り合いがいて、からかってみようと思っただけなんだ。

本気として受け取って、悩んで損した。


そもそも、私にちょっかいかけなくても、今はハーレム状態。

選びたい放題なんだ。

そこら辺の子なら、いつでも相手してくれるはずだし。

私を相手にする必要はないはず。



「梨沙先輩、何か悩みごとでもあるんですか?」



さっきのやり取りを見ていたであろう菜月が、急にそんなことを言う。




< 54 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop