同期がオトコに変わるとき

「え!?私が真辺の部屋に?なんで?」

「なんでって・・・手伝ってほしいことがあるからだよ。朝9時A駅に迎えに行くから待っとけ。分かったな」


私の返事も訊かずに、真辺は一方的に決めてスタスタと歩いていってしまった。


手伝ってほしいこと?

一体何だろうか。


ぼーっと考えていると始業前の音楽が鳴り始めていて、慌ててエントランスに向かう。

連れ込まれた場所はかなり遠く、全力で走る。

もうっ、遅刻したら真辺の責任だ!

滑り込むように押したタイムカードは始業1分前で、ホッと胸をなでおろした。

走ったせいでずれたメガネを直して息を整え、業務に勤しんだ。




そして一週間が瞬くうちに過ぎた日曜日の9時少し前、私はA駅のロータリーに立っている。

真辺は動きやすい格好で来いと言っていたからカットソーにジーンズのスタイルだ。

約束の9時になったころ、白い車がロータリーに入ってきて私の前で停まった。

助手席側の窓がスーッと開いて真辺が「乗れ」と言うので、素直に助手席に座る。


「手伝ってほしいことって、何?」

「片付け」

「へ?片付け?」


車は綺麗なマンションの駐車場に停まり、連れてこられた部屋には未開封の段ボール箱がたくさん置かれていた。

どうやら引っ越したばかりのようだ


「ここ、新築?匂いが新しいね。それに広いね?」

「そうか?1LDKだぞ。ま、その気になりゃ、ふたりで暮らすこともできるがな」

「そうだよね、リビングも部屋も広いもの。ふたりくらいは余裕だよね」


< 18 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop