サクラひらひら
小さな光
「ふぁぁ」
大あくびをしながら、私は通学電車に揺られていた。
『おはよう!!渡辺さん!!』
改札を出たところで声を掛けられた。
あまりにも大きな声だから、肩が飛び跳ねた。
「お、おはよう!朝から元気いいね」笑
彼の名前は〝西 隆樹(にし りゅうき)〟君。
私の隣の席の男の子。
すごく気さくな性格で、人見知りが激しい私でもすぅーっと心に入っていける。
話していてとても楽しい。
学校まで2人で歩く。
『ねぇねぇ。』
と、西くん。
「ん?なに?」
『渡辺さんってさ、三浦くんとケンカでもしてるの?』
「え?なんで?」
聞いてほしくない話題を出され、苦笑いを浮かべる私。
『だって、いつも4人で楽しそうにいるのに、渡辺さんと三浦くんが話してるのあんまり見たことがない気がするなーって思って。』
「…。」
『あ、聞いちゃダメだった?ごめん。言いたくないなら言わなくていいよ。』
「ケンカしてる訳じゃないの。一方的に避けられてる感じかな。そんな感じだから私もシンに声掛けずらくって。」
『そーだったんだ』
あまり、深く聞かない方がいいと思ったのか、それから沈黙が続いた。
『ねぇ』
口を開いたのは、西くんだった。
『今日から、ゆうかって呼んでもいい?』
「え?」
急にそんな事を言われ、ぽかんとする私。
『ダメだったか』
残念そうに笑う。
「い、いいよ!」
『ほんと!?』
またもや、びっくりするくらいの大きな声。
「うん」
『じゃあ、俺の事もりゅうきでいいから!!』
「えっ…」
先に行ってるね!と、返事をする間もなく、彼は走って先に行ってしまった。
「ま、いっか。」