E・N・M・A~えんま~


泣き崩れたまま止むことのない慟哭(どうこく)を、ただただ、見守るしかなかった。



どれだけそうしていただろうーー。



少女が泣きやんだ頃には、東の空に見えていた太陽が今では真上から二人を照らしていた。



「ふ…我はそなたの名前さえ知らないな」



そう言って笑うと、
「…ちなつ」
同じように笑みを浮かべて、答えた少女を再び強く抱き締めた。



< 70 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop