悪魔な彼が愛を囁くとき

まるで一度見てきたことがあるような口ぶりだった。

そして、言われるままに2人で住むマンションを決めた日、管理会社と連絡をとるよりも先に引っ越し業者の手配が済んでいたこと。

住むマンションは初めから決まっていたかのような気がしてならない。

その後、マンションの手続きも電話1本で済み、書類手続きがなかったことが不思議でならなかった。

〈そして極めつけの理由〉

エンゲージリングが既に用意してあったことだ。みんなの前で堂々と報告した日の夜、着替えもない私はアパートに帰りたかった。渋々帰ることを承諾した仁にアパートまで送ってもらうだけのつもりでいたのに、なぜかアパートの私の部屋の中まで入ってきて、ベットに押し倒され『嫌よ嫌よ』と言いながら流されるまま1日で私の体を知り尽くした男の手に堕ちていた。

そして、ボーとする意識の中で

『凛…幸せにする』

左手の薬指にキラキラ光るリングがぴったりと収まる。

その時は嬉しさに疑問も浮かばなかったが、時間が経つにつれ‥いつから用意していたの?…

疑問をぶつけた日
妖しく笑みを浮かべ

『お前を嫁にするって決めた日だったかもな⁈』

『それっていつよ?』

私の突っ込みに、ただ意地悪く笑っていた。
< 118 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop