悪魔な彼が愛を囁くとき

なぜか焦っている私。

えっ…なんでよ。
傷つけた…だって、本当のことじゃない。

繋がれた手を引っ張っても、拗ねた男は振り向いてもくれなくて、手も離れてしまった。

悲しくてウルっとしていたら…

「おねぇちゃん、よしよし…」

男の子が椅子をつたって隣の席まで来て私の頭を撫でてくれた。

ニコニコとしたかわいい笑顔に癒されて顔がほころぶ。

「あら、新ちゃん…お姉ちゃんと仲良くなったの?」

男の子のママさんが、ケーキとジュースを持って奥から出てきた。

「仁の奴が大人げないから、彼女が困ってたんだよ。それで新が慰めてたんだよな」

「うん…パパがいつもおんなのこにはやさしくしなさいっていってるもん」

「おっ、さすが俺の息子だ」

男の子の頭を優しく撫でてた男性。

嬉しそうにえへへと笑う男の子は、ママにも褒めて欲しいのか身を乗り出した。

「新ちゃん、えらいね。でも、誰にでもやさしくしちゃダメよ」

なんでと首をかしげる男の子。

「好きな女の子にだけでいいの。女の子みんなにやさしくしてたら好きな子に嫌われちゃうわよ」

「…うん。わかった…ぼくはママがだいすきだからママだけにやさしくする。あっ、おねぇちゃん、かわいいからやさしくしたげる」
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