悪魔な彼が愛を囁くとき

布団に入ったって、寝つけるわけがなく何度も寝返りを繰り返したり、違うことを考えようと羊を数えてみたりして気を紛らせても、結局は好きだと自覚してすぐにキスしてしまったことが過ぎってしまう。

どうしよう…

何が『どうしよう』なのかわからないが、その言葉しか出てこないのだからしょうがない。

カーテンから朝日が差し込む時間まで、布団の中で悩んでいたはずが、アラームの音で目が覚めていく。

すっきりとしない頭で、冷蔵庫を開ける。

相変わらず、何もない冷蔵庫だ。

炭酸水の入ったペットボトルを開けるとプシュっとする爽快な音に寝ぼけた頭も起きて、シュワっとする刺激が口の中を通り喉を潤して、すっきりとしてくる体と頭の中。

仕事……行かなくっちゃ…

あーもう、悩んでも仕方ないわよ。

好きになっちゃたんだもの。

でも、素直に認めれない。

店長に『あなたを振る初めての女ですよ』と言ってしまった手前、すぐには認めたくない。

認めてしまったら『俺が振られるなんてない』と断言したあの悪魔が喜ぶだけで悔しいから、まだ、自分だけの胸にしまっておくことにする。

いい…凛。
あくまでも平静を保って対応するのよ。

頬をパチンと叩いて、いざ…悪魔の元へ
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