星の砂 **海と空の秘密**
空は驚いた顔をして、私を見た。
切なく、そして優しく。
「空も、そうなんでしょ?海斗と同じ。私がアユミさんに似てるから、好きになったんでしょ!? もう、信じらんない……。」
私は、その場に膝をついて、泣き崩れた。
すると、空は『体、冷えてるな』と言いながら、私の体を暖めるようにして、私の体を優しく抱き寄せた。
そして、私の頭の上で優しく言った。
「違う。そんな理由で、俺はここみのこと好きになったりしない。海斗だって、同じだよ。お前の全部に惚れてんだ。アユミなんか、関係ねーよ。 ……な?」
空は私の頭を優しく撫でながら、そう言った。
空の言葉は、私の心を溶かした。
何だかすごく空が愛しくなって、私も空の背中に手を回した。
空は、私の思いを受けとめるかのように、私をきつく抱きしめた。
その時、誰かが小さく私の名前を呼んだ。
潮風は、潮の香りと共にその人の香りを運んできた。
「海斗……」
海斗は、寂しそうな顔で立っていた。
夜の海は波だけ青く。
夜の潮風は生温く。
夜の砂浜はまだ熱い。
海斗の話が聞きたかった。
部屋を出た時に『違う』と言った、海斗の言葉を信じたかった。
でも、私は素直になれなかった。
空の背中に手を回したまま、顔を背けた。
すると、そこにはもう1人。
黒い砂浜の上で、涙を浮かべながら、ただ呆然と立ち尽くす人がいた。