星の砂 **海と空の秘密**


この頃からだっただろうか。

私が人間不信と同時に、恋愛不信になってしまったのは。


それでも別れを告げて来なかった彼に、私は期待していた。

本当に好きだったから、自分からも別れを告げなかった。



私は学校を飛び出し、自転車のカゴに乱暴にカバンを放り込むと、全速力で坂を駆け上った。

セミの声なんか、もう聞こえなかった。



家に着くと、荷物をまとめ、何かあったときに遣おうと思っていた貯金を取り出した。

驚くお母さんに目もくれず、『おじいちゃんちに行く』とだけ伝え、家を飛び出した。



何もかも忘れたかった。

遠くに行きたかった。



< 2 / 143 >

この作品をシェア

pagetop