Blue Moon
01.時計の針が交わるときに




あれから十数年の時が流れた。





「―――今夜も、いい月ね」



ところどころ朽ちて、壁にはヒビの入っている城内に、月明かりが煌々と差し込み、暗い廊下に青い光が煌めく。



「あれから、…何年たったのかしら」



城が敵軍に攻め落とされ、その中でなんとか生き延びた私は女中とともに数年後この城へ戻ってきた。


かつての威厳を無くし、すっかり静かになってしまったこの城に。



しかし、私が13の歳になると同時にすべての女中が出て行ってしまった。



なんでも、真夜中になるとどこからか物音がするのだとかで。


私もついてくるように言われたが、その申し出は断った。




なぜなら私は、両親とわずかだが過ごしたこの場所にいたかったから。




まだ、顔もうろ覚えなくらいに、小さかった頃だったからこそ


少しでも傍にいたかった。










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