【更新中】花の名
アスチルベ -恋の訪れ-
「ただいま~」

「あ、花梨! ちょうどいい所に帰ってきてくれた! 今日アレンジメントの注文が多いからお母さんだけじゃちょっと大変なのよ。早く制服着替えて手伝ってくれると嬉しいなあ」

そう上目遣いをしながら小首をかしげているのは、このフラワーショップ『かすみ』の店主であり私の母親、中園香澄(なかぞのかすみ)だ。

父親は私が幼いときに病気で亡くなってしまったが、女手ひとつで店を切り盛りしながら私をここまで育ててあげてくれた。

お母さんには本当に感謝しているけれど、こうしてぶりっこするのはやめて欲しい。もういい年なんだから。

「はいはい、ちょっと着替えてくる」そう声をかけつつ部屋に戻る。

先月から私立藤学園に入学したばかりの私は、まだ新品同様の制服をクローゼットにしまいこみ、店舗へ顔をだした。

どうやら、今日は連休直前ということで、連休中に行われるイベントなどのフラワーアレンジメントの発注が多いらしい。
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