【更新中】花の名
――結局この日は一日中さまざまなクラスから女子が殺到し、勉強どころではなかったし、女の先生までなんだか浮き足立っていてお話にならなかった。

そうして放課後。

どうやら転校生2人は仕事があるらしく、周りの女子たちに「ごめんね、ちょっと帰らせてくれるかなー」なんて声をかけながら人垣を割っている。私も家の手伝いがあるため、帰り支度を始めると

「ねえ、花梨ちゃん、だよね? フラワーショップ『かすみ』の。俺のこと、覚えてないかなあ?」

鞄を取ろうとかがんだ私の顔を覗き込むように、新居くんが話しかけてきた。
< 19 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop