魅力的なアナタが好きです。
「ふたりとも、お疲れ様。唯くんも急なのにシフト入ってくれて助かったよ……」

「あー、どたばたしてて聞くの忘れてたっすけど風斗はどうしたんすか?」

「それが、インフルエンザで暫く来れないみたいで」

「使えねえー、草不可避」

「真顔で言われても」

「心の中では大爆笑っすよ。ワロタァwwwて。笑い過ぎて過呼吸起こしてパトラッシュ迎えに来てます」

「うん、丁重にお帰り頂いて?」

「コミュ症で話術ないんで交渉むずいっすねえ。丁重に、んー、帰れいぬっころ」

「語彙力。でも今思えばコミュ症が接客業ってかなり頑張ってるよね?だから大丈夫だから大人しく帰ってねパトラッシュ、またね」

「またねとか」

「ほら、一応ね?人間に転生するかもしれないしさ」

「まあ、否めないっすけど。てか、スルーすべきか悩んだんすけどコミュ症採用したのは屋敷さんだろ。大草原だわ」



ホールの掃除をしている唯くんとそんな会話をしていると、最後のテーブルを拭きつつ椅子の向きを直した桐野さんが笑う声が聞こえた。


「あはは、ごめんなさい。私、ここのゆるーい雰囲気大好きんです」



て、ん、し、か。


平静を装って桐野さんから布巾を受け取り、彼女のカウンター席での定位置に紅茶を注いだ紙コップを置く。
唯くんの熱い視線が斜め左前から感じる。


……はっ、レスポンスか!!



「あ、ありがとう!!」




沈黙。


沈黙。



……沈黙。




がしっと唯くんに肩を組まれ、引き寄せられた。
今はその能面フェイスが怖い、ひたすら怖い。
でもここで笑ったらそれもそれでかなり怖い。
どうすればいいの?いや、笑わないだろうけど!



「ごめんあまね、俺達コミュ症代表でさ。てか竹じいのせいで切り上げんのかなり遅くなったしはよ帰ろうぜ」

「閉店間際に滑り込んで来ましたから……。そうですね、そろそろ着替えて帰らないと」


フォローありがとう、唯くん……!!



「あれ、あまねって家どっち方面?俺は電車乗らないけど駅方面」

「あ、真逆ですね。私は公園のほうです」

「まじで?そっち方面は屋敷さんだけじゃん」



……あれ?
なんか唯くんの視線が僕に注がれてる。



「屋敷さん、送ってってあげてくーださい。女の子ひとりだと危ないと思うんで」



うん、やっぱり、そうなるよね、あはは。
< 2 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop