甘党バレンタイン
僕は甘いものが好きです。

2015/02/14(1年目)

僕の恋人、拓実はいわゆるイケメンだ。






綺麗な黒髪、気さくな性格、みんなに平等で優しい奴。



どこにでもいる平々凡々な僕とは大違い。


正反対と言ってもいい。




だから、ずっと憧れたとしてもこの思いが叶う、それどころか届くとも思ってなかった。





なにより、男同士………だし………





だけど、去年のバレンタイン、ぽろっと思いがこぼれて………






……現在に至る。






「美樹?おーーい、聞こえてるかー?」




はっと、気がつき目を開けると鼻が触れるくらいの距離に拓実の顔が。




「ちっ!近い!!!」


拓実は意識してないんだろうけど、とにかく一つ一つの動作の距離が近い。





~~~~っ!





「だ、大丈夫か!?

顔真っ赤だぞ?熱でもあるのか?」


そう言って僕の頬に手を伸ばす。





この状況の中触れないでよっ!



どこのラブストーリーだよっ!





そう思いつつもひんやりとした拓実の大きな手のひらを求めてしまう。




軽く目を閉じ……




拓実の手が触れ………






「たっ拓実くん!お、おはよっ!」





なかった。




確か同じクラスの女子だ。


興味無いから名前なんて覚えてない。



「あっ、おはよー」



いつものキラキラスマイルで応える拓実。




離れていく手。




…………仕方…ないよね。



クラス1位、いや、校内1位を誇るイケメン男子生徒が男と付き合ってるなんてバレるわけにはいかないもんな。




でもさ、



「はっ!はい。チョコ!!」


「わざわざありがとう!」



こんなやりとりが自分の隣でやられて落ち着く訳が無い。



拓実もそんな笑顔返さないでよ。




ひとり、惨めな気持ちに陥ってると、



「さて、行こっか。」



そう言って軽く僕の手に触れる拓実。



さっきのキラキラスマイルとは違って、優しい微笑み。





あーもう!





それでもなんだか、許してしまうのは、こうなってしまうのが仕方ないと思ってるし、なにより、苦い思いは嫌いだからだろうな。
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