狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

最後の一人を見送って…

そして悠久の城では―――…



「ではそろそろわしも行かせて頂くとしますかのぉ」


孫のように可愛がっているアオイの成長を今日も一頻り褒め終わった後、大魔導師ガーラントは分厚い書物を抱えなおし杖を手にすると、向かい側に座っていた美しい男と扉の前まで歩いていく。


「それではキュリオ様、何かございましたらいつでもこのガーラントめをお呼び下され!」


「そうならない事を祈るよ。楽しい旅をガーラント」


最後に一番付き合いの長い彼を見送ったキュリオは静まり返った廊下を歩き、自室のある最上階目指して階段を上がっていく。
途中窓から外を覗くが、鍛錬中の剣士の声も賑やかな女官や侍女の声も聞こえない。


ただ鳥や風が木々の葉を揺らす音が寂しく響き…ここが悠久の城ではないような錯覚さえ覚える。



それらを無表情のまま受け入れるキュリオの口角がわずかに上がり、それと同時に彼は止めていた足を再び動かし始めた―――。



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