狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

代弁者

「…ダルド…」


その手があったか、とばかりに立ち上がったキュリオだが…


(しかし…アオイが自分の意志で出てこないのだとしたら…)


一刻も早く彼女に会いたいと思う反面、無理に探し出すのはアオイの心を無視してしまうのではないかという思いがキュリオの足を止める。


「…心配いらない。アオイ姫もキュリオに会いたがってる」


「…ありがとうダルド。君の用件も聞かずに巻き込んですまない…」


ダルドの言葉にほんの少し表情が和らいだキュリオは気立ての良い友人へ席につくよう促すと、傍に待機している侍女へ何やら指示を出している。


「朝食はまだだろう?ゆっくり話でもしよう」


「うん」


『アオイ姫の姿が戻るまで時間を稼がないと』


『ごめんなさいダルドさま…』


ダルドは子猫の瞳を見つめながらその意志を伝えてくるが、その手段がどのようなものかわからない。
そして自分もどのようにして彼と意思疎通が出来ているのか不思議だが…ダルドは紛れもなくこの状況下でもっとも最良な協力者で理解者である。


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