狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

心の声

自分の椅子に座ったキュリオは不貞腐れたように肘掛に肘をつきながら手の甲で顎を支えている。


アオイは極度な"ファザコン"だが、キュリオはもしかしたらそれ以上に娘に依存、執着しているかもしれない。

そしてもっとも違うのは…

現時点でいうキュリオの"愛"は一方的な片想いだという事だ。

それをキュリオが身に染みて感じでしまう場面はこういう時である。


このようなキュリオを見たら他の王はなんというだろう。


その前に、いつも冷静で余裕な彼が年端もいかない小娘にヤキモキしているところなど想像出来るだろうか?


そんなキュリオを見てアオイは困ったと…狼狽える反面、きゅっと切なく胸が高鳴ってしまう。


(なんでだろう…悪い事言っちゃったって思うのに…ちょっと嬉しい)


『わ、私もしかして…サディストとか言うやつっ!?』


"イジメて喜ぶなんてほんとシュウってサディストだよね…"


"…サディストってなぁに?ミキ"


"ちょ…嘘でしょ?本当に知らないの?"


"へっ、変な事教えんなよミキ!アオイ誤解だぜ!?俺サディストじゃねぇからな!?"


"…?シュウは知ってるの?サディスト"


必死で弁解を図るシュウにきょとんとするアオイ。その後、ミキによってその意味を知らされたアオイだが、自分とはほど遠いものだと思い込んでいた。しかし…



「…そんな言葉どこで覚えた?」



心の声がダダ漏れになっていたアオイはぎょっとして声色を下げたキュリオを仰ぎみる。



「がっ、学校の授業で習ったかなぁー…っ?それとも人生の先輩からだったかな…ぁ…?」



「……」

(…どうせあの二人だろうな…)


キュリオの脳裏に浮かぶミキとシュウが勝ち誇ったように笑い声をあげている。

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