狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

荒らされた"花の名"

「もしかして…スカーレットさんを第一走者にしたのも…」


「キュリオ様です。キュリオ様はスカーレット殿がむやみにアオイ姫様に近づかぬよう、ご自分の出走に彼女を合わせておいでです」


「……」

(お父様…)


不安な気持ちに胸元を押さえたアオイがスカーレットの駆けて行った方向へ目を向けると、すでに待機していたキュリオ他数名がスタート地点に横並びになっていた。



「遅くなってしまい申し訳ございませんキュリオ様。まさか第一走者として呼ばれるとは思っておらず…」


スカーレットは口元に笑みを浮かべて謝罪するが、その瞳はまったく笑っていない。


「私の忠告が聞こえなかったようだね」


「忠告…いいえ?
俺は"キュリオ様の庭"を荒らした覚えはありません。もし、知らずにそうしてしまっていたのであれば…荒らした"花の名"を教えて頂けますか?」


「もっとも…すでにその蜜を堪能させて頂いてる可能性はありますが」


「……」


挑発的なスカーレットの物言いにキュリオの眉間には深い皺が刻まれていく。





「私の花は警戒する事を知らない。もし君がその蜜の味を知っているとすれば…彼女の優しさに付け入ったとしか思えない」





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