狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

異変


"―――…ヨォイ…スターーーァァアット!!!"


戦の狼煙(のろし)とも言えるアレスの声が響き渡る中…


「…あれ…」


そう声を上げたのは他でもない、キュリオとスカーレットの様子を一番気にかけていたアオイだった。


「…スカーレット殿、いかがされたのでしょう…」


アオイとブラスト以外にも彼女の異変に気付いた者たちがにわかにざわつき始めた。
皆の視線はまたも独走状態のキュリオか、スタート地点に立ちつくしたままのスカーレットにと向けられている。


「……」

(そう言えばスタート前にお父様とスカーレットさんは何かお話をされていたみたいだった…)


「…姫様」


不安そうにスカーレットを見つめるアオイに気づいたブラストは隣りに佇(たたず)む幼い姫と、彼女の視線の先にいる緋色の剣士へとしきりに監視の目を光らせている。


「うん…」

(…何を言われるかわかってる…でも……)


間もなく一着のキュリオがゴール間近にも関わらず…肩を落とし、表情が陰り始めたスカーレット。
そんな様子を目にしたアオイは嫌な予感に焦りの鼓動を刻み始め…ますます彼女から目が離せない。

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