逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「わ、わかったわ、買ってくる! 着替えも、どっかで買ってくる!」


 沙耶はお玉を放り投げ、財布の入ったバッグをつかむと、基が止める間もなくアパートを飛び出して行ってしまった。


「……信頼されているわけじゃないんだろうな」


 基は苦笑しながら、一人で残された部屋の中をぐるりと見回した。


 沙耶の部屋……。彼女らしい、清潔で可愛らしい部屋だ。
 そしてその慎ましい生活ぶりが伝わってくる。


 まさかこんな形で、彼女の部屋にくることになるとは思わなかった。


 沙耶の住所は神尾に調べさせた。
 神尾は、基がこうやって押しかけるとは思っていないかもしれない。

 がむしゃらだ。スマートじゃない。基らしくないからだ。



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