逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「帰ればもう沙耶と会えなくなる! それで沙耶はいいのか!?」
「……」
「なんとか言えよっ!」


 基は沙耶の肩をつかみ、引き寄せる。
 そして、沙耶のほっそりとした、裸の背中を締め付けるように抱きしめた。


「俺は絶対に沙耶から離れない! 沙耶は俺といて幸せじゃないのか!?」


 自分たちを引き離すなんて誰にも許さない。


 生まれて初めて、恋をした。
 生まれて初めて、人を愛した。

 この人の笑顔のためなら、なんだってできると、すべてを投げ出したって構わないと思う人に、この世界中のどれだけの人が出会えるだろう。

 自分にとって沙耶はまさに“奇跡”だったのだ。

 沙耶さえいれば何もいらない。
 それはそんなに罪深いことなのか?



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