逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 そんな沙耶の前に突然神尾が現れたのは、今から一ヶ月前のことである。


「エール化粧品の関連会社の社長になりました。私の秘書をやりませんか」


 沙耶は知らなかったが、エール化粧品はコンサルティング会社も関連企業として持っているらしい。

 その社長に神尾が抜擢されたということである。

 迷う沙耶に、神尾は駄目押しでささやいた。


「社長と言っても上からの圧が凄いんですよ。派閥争いやら他社のスパイやら、魑魅魍魎の世界なんです。ストレスが半端ないので、助けると思って、可哀想な私のために、ぜひお願いします」


 正直言って、神尾には散々世話になっている。

 そんな彼から助けてくれと言われたら、やはり無視することはできなかった。

 ということで、沙耶は会社を辞めて、一ヶ月前から神尾の秘書になったのである。



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