続・俺と結婚しろよ!






あたしは再び賢ちゃんを見た。

今は少し乱れた黒髪に、少しつり上がった瞳。

人の良さそうな口角の上がった唇。

全てがFの玄と同じ。

そして、全てが愛しい。





「だから、普段はもっと大切にする。

今までより、もっと」



「何言ってるの」





賢ちゃん、すごくすごくあたしのこと大切にしてくれているじゃん。

きっと、今までにないほど、あたしばっかり見てくれている。

あたしって幸せ者だな。

賢ちゃんにこんなにも愛されて。





「咲良のファンに言ってやりたい。

咲良は俺のものだって。

お前らには渡さねぇって」



「それはあたしも同じ」





賢ちゃんが、そっとあたしの肩に触れる。

そこから、強い電流が流れた。

引き寄せられるようにあたしたちは近付き……

二度と離れないようにぎゅっとして……

優しくて甘いキスを交わす。





ただのキスなのに、満たされていく。

エネルギーが溢れてくる。

あたし、本番も頑張れそう。

賢ちゃんのおかげだよ。




< 122 / 629 >

この作品をシェア

pagetop