続・俺と結婚しろよ!
「俺、最近声かけられる」
悠真がボーッと前を向いている。
「変装しないといけねぇ」
そうなんだ。
あたしはだいたい賢ちゃんと家の中にいたから、分からなかった。
だけど、悟るべきだった。
賢ちゃんは絶対タクシーか車で迎えに来るし、村木さんも頻繁に送迎してくれる。
世間では、あたしたちの顔は知れ渡っていて。
……有名人の仲間入りをしているんだ。
「信じられないよ」
平凡だと思っていたあたしたちが、まさかこんな舞台に立てるなんて。
だけど、せっかく掴んだチャンスだから。
絶対に離さない。
それに、ここでヘタレちゃ駄目でしょ?
きっと比べられるよ。
Fはカッコイイのに、soleilは駄目駄目だって。
「今日の収録も頑張るよ!!」
あたしは、気合いを入れ直した。
全てが絶好調に思えたあたしたち。
まさか、この後あんな地獄を見るなんて、思ってもいなかった。