『N』ー忍びで候うー
21.頭痛の種
「あー、希代香、眠いの?わかる、ひさしぶりの授業であたしも、、、ふわあ、、朝一の授業はきついわ。」
すっかり春の陽気だというのに、あたしと紗江はいつもの学食のカフェテリアにいた。

「ちが、あたしは花粉症で、、っくしゅん。ぁー、ずび、、鼻は出るし目はかゆいし、、」
「ありゃー、来てるよね、花粉。うちのお姉ちゃんもそうだよ。あたしは今のとこ、だいじょぶなんだけど。」

あたしはマスクをずらし、鼻をかんだ。
昨日から急に鼻に違和感を感じ始めていたら見事に今朝、鼻が止まらなくなっていた。
「くしゅんっ!、、ずび、、ぁぁ、、」

新学期のキャンパスは人であふれていた。
次の授業までの空いた1時間を紗江とふたり、いつものデザートセットでいつものようにお茶していた。

「だいぶ、つらそうだね。」
最後のティッシュを使い切ると、紗江が「これも使って。」とカバンからポケットティッシュを出してくれた。
「ありがと。」ずびびびび、また鼻をかむ。

その時、カバンに入れた携帯がぶるぶる振動しているのがわかった。

着信は非通知。
だけどあたしはぴん、ときてそれに出た。

「はい。、、」鼻がでてしょうがない。ずびび、っとそれをすする。

「・・・ぷっ。花粉症?」その笑い声、郷太だった。





< 101 / 159 >

この作品をシェア

pagetop