『N』ー忍びで候うー
25.行方
「一!待て、俺も行く!」

振り向きもせず前を行く一花。

くそっ、速ぇっ、、!


日頃の鍛錬不足を痛感させられる。

前を行く背中がどんどん離れていく。



角を曲がった。


必死で追う。


また曲がった。



なんだ?まるで迷いがない。
知ってる場所なのか?


ふと疑問が沸いた。


なんで、そんなに必死なんだ?

仕事だろ?


いつも冷静に淡々とこなすあいつが、、


先代の孫だからか?

それなら俺にとっても同じ理由、だが、

それにしてはーー



郷太の言葉が浮かんだ。

『どうして?なんで一花が気にするの?』

どうしてだ?




角を曲がった。





「一!、、ここか?」


そこに肩で息を吐く一花が立ち止っていた。
道は3方向に分かれていた。


「なぜ家へ帰らなかった、、」

「なんだ?」

「こっちだ」
すぐに一花がそのうちのひとつを指し、踏み出した。

はぁはぁ、息も整えられず、それに続く。

「っくそ」



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