『N』ー忍びで候うー
32.忍びで候う
「どうしてここにいるの?!」

2人を見比べるあたしを前に、一花は何も言わない。あたしの視線は郷太に止まった。
「いやいや、僕だけじゃないでしょ?」
大げさに手を振りながら郷太は『一花だって。』と加えた。

「家まで送ろう。まだ近くにいないとも限らない。郷太は頭首に今のことを伝えてくれ。」
あたしの質問には答えず一花はその場を収拾していく。

「本当は僕が付いててあげたいけど。
一花の腕は僕より上だからね。・・・」

「郷太??何かあったの?」

「いや、なんでも無い。、、気をつけて。」


そう言うと駆け出していった。


「郷太も一花も、あたしがまた襲われるって分かってたの?それで近くにいたの?今までずっと??」
残る一花に振り向いた。

バイクの音が遠ざかっていくのが聞こえていた。周囲を警戒していた一花があたしに視線を向けた。
< 150 / 159 >

この作品をシェア

pagetop