『N』ー忍びで候うー
19.新たな訓練は公園で
いつの間にかもう4月に入っていた。

あと少しで春休みも終わる頃、
あたしはおばあちゃまから配属変更を伝えられた。そして新たな訓練だと、待つよう言われたのはとある公園だった。


「ここだよね、、」
指定された噴水そばのベンチに腰掛けた。
周りを見渡しても知ってる顔はなさそうだった。
そこは、家から離れていて、普段は来たことのない、だけど有名で割と規模のある、庭園も美しい公園。

約束の時間まではあと少しあった。

何となくぼーっと、周りを見ていると、日曜の昼間だけあって、子供を連れた家族やカップル、外国人、学生のグループ、いろんな人達がいた。


「観察中?」
ぽん、と肩を叩かれ、あたしはベンチから飛び上がりそうになった。
「きゃっ?!、、郷太?!」
「ごめん、そんなに驚いた?もしかして、僕が来るって聞いてなかったの?」

反射的に肩を抱いた手を下ろしつつ頷いた。まだ全身がぞわぞわと鳥肌立っている。

「何にも。何の訓練かも聞いてないの。」
「そっか。」



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