『N』ー忍びで候うー
20.訓練x潜入x彼氏と彼女
並ぶと、一花の時よりも背の高さがあって更に見上げる格好になった。


「デートしよっか。」

急にぐいっと腕を引っ張られた。有無を言わせない勢いで。「ちょ、ちょっと、、」それ以上言う前に「歩きながらの訓練だからね。」と念を押された。

「腕組まなくてもよくない??」
引っ張られる形で歩く。郷太はこちらを見たかと思うと、抑えたような声で囁いた。

「今日は僕と恋人同士に見えるように、ね。」
「え??」口元を塞がれる。
「し、潜入した場合の訓練だから。」もがもがとあたしの声は遮られてしまった。真剣な声だった。

がっちりホールドされた腕は、ひっぱっても離れない。郷太はにこっと笑顔を見せると前を向いた。

ほんとに、、どれが本当の郷太かわからない。




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