ハイスクール・カンパニー


来栖さんは、理貴に断りもなくドカッと隣に座り、彼が食べきれなかった皿を手元に引き寄せ食べ出した。


「う~ん、このキャビア、うまっ……残念だなせっかくの料理が食べられなくて」
理貴に向かって言う。


「食事まだなのか?」


「急に呼び出されたからな。それで、大丈夫なのか?」
来栖さんは理貴の方を見て言う。


「ああ、もう大丈夫、何でもないよ」
何でもないとは言えない。
理貴さんは、さっきからスープを一口飲んだだけだ。

「理貴さん、やっぱり私おかゆを作りますから、横になってください」
理貴が、意味ありげに笑ったのを来栖は見逃さなかった。


「それで、理貴はいつになったら、この人を紹介してくれるの?」
来栖は、伊都の方を見て言う。


「必要ない。お前はここにずっと居るわけじゃないし」


「へぇ~言いたくないのか」来栖は、笑いを押さえながら言う。


「あの、牧瀬伊都です。こちらでは、料理と身の回りのお世話をしてます」


「料理と身の回り?何だ、それ」


「お前、いつからそんなもん必要になった?」
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