セシル ~恋する木星~
もう、これで夢のような一週間が終わってしまう。
このバスに乗ると、非日常から日常に戻ってしまうような気がして、セシルの足取りは少し重かった。
最後に山口が乗って、バスは静かに走り出した。
遠ざかってゆくホテルを見ながら、センチメンタルな気分になるセシル。
滞在中、ほとんど晴れていた空も、今日は曇っている。
そんなセシルに気づいた山口が、声をかけてきた。
「どうしたの? 大丈夫?」
「え? 何がですか」
「なんか、淋しそうに見えたから」
「ええ、淋しくて……」
「また、おいでよ」
「そうですね」