セシル ~恋する木星~
「セシル、山口さんのこと、結構気になってるみたいだったから」
「うん。たまに思い出したりしてた。どうしてるのかな、って」
「ふたりで逢うって、危なくない?」
「やだぁ。ほんとに直子は心配性なんだから」
「だって……」
「ただ逢って、ちょっと飲むだけじゃない? 何が危ないのよ」
「セシル、山口さんの声がいいとか言ってたし」
「そうなの。逢って話してるときより、電話のほうがもっといい声なの。耳元で『今度飲みに行こうか』とか言われちゃって、もうドキドキ……」
「それが危ないって言うの」
「え?」