セシル ~恋する木星~


「わたしね、山口さんの声、好きなの」

「声?」

「うん。耳元ですごいいい声で『今度飲みに行こうか』なんて言われて、もうクラクラしちゃって……」

「そうか。俺の声、結構低いからな」

「ねぇ、耳元でまた言ってみて」

「飲みに行こうか」

「うわっ」

「え? 嫌だった?」

「ううん、そうじゃなくって。全身がぞわーって……」

「そんなに?」

「うん」

「可愛いな」



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